EverGlide AE68 Pro

01. はじめに

EverGlide AE68 Pro。

磁気キーボードの低価格化はとどまることを知りませんが、ついに「1万円以下」でとんでもないコスパ機が現れました。正直、この価格でこのスペックを維持できる理由が不明すぎて、専門的に見ても首をかしげるレベルです。

冷静にパーツ構成をバラして、中国の現地価格から計算してみましょう。搭載されているFrontier製の半透明キーキャップは約3,500円、磁気スイッチのEverGlide Siren V2は約2,500円。送料抜きでも超高性能な基板とケースが合わせて3,000円程度で売られている計算になります。まさに価格破壊といっても過言ではないでしょう。

安価なキーボードの多くは性能に全振りして「音」や「見た目」を切り捨てますが、AE68 Proは違います。性能を維持しつつ、打鍵音と美しさにも一切の妥協がありません。今までの「1万円以下=チープで音が悪い」という常識を真っ向から叩き潰す一台。その実力を深掘りします。

なお、本機はABSケースですが、これとは別に二種類のアルミケースモデルが19,800円で登場します。圧倒的な剛性と質感を求める層には、こちらも間違いなく刺さるはずです。

この記事のポイント

  • 驚愕の9,800円。パーツ代だけで価格の半分以上を占める異常なコスパ。
  • Siren V2スイッチが奏でる、磁気とは思えない芯のある「コトコト音」。
  • 実測遅延0.5ms。ハイエンド機やHM Zシリーズを超える圧倒的レスポンス。

At a Glance

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Total Score

02. 商品仕様

レイアウト
68キー (65% US配列)
マウント方式
ガスケットマウント
プレート仕様
アルミニウム
ポーリングレート
8KHz
スイッチ
EverGlide Siren V2
キーキャップ
Frontier製 半透明PCキーキャップ (半透明モデルのみ)
AP/RT範囲
0.001mm - 3.793mm
デッドゾーン
0 - 1mm
ケース材質
ABS
接続端子
USB Type-C (中央配置)
接続方式
有線のみ
価格
9,800円 (アルミモデルは19,800円)

03. デザインと構造

ケース素材はABSです。隅々まで完璧なビルドクオリティというわけではありませんが、エッジの処理を凝視すれば相応のチープさが顔を出す部分はありますが、この価格設定を考えれば十分に納得できるトレードオフと言えます。

バリエーションは「半透明(黒)」「半透明(白)」「白」の3種類。筆者としては間違いなく半透明モデルをお勧めします。通常白モデルはよくあるプラスチックケースで、キーキャップもFrontier製ではない白×赤の構成になるため、この製品最大の魅力であるライティング性能が活きません。

AE68 Pro 半透明(黒)
AE68 Pro 半透明(白)
AE68 Pro 通常(白)

2段階調整可能なチルトスタンド

底面には2段階で調整可能なチルトスタンドを搭載しています。タイピング環境に合わせた角度調整が可能です。

AE68 Pro チルトスタンド
2段階で高さ調整が可能なスタンド部分

実機の雰囲気をよりリアルに把握する

記事内の写真だけでは実際の透け感やサイズ感を完全にお伝えするのは困難です。実物の細部をもっと詳しく見たい、より具体的なイメージを固めたいという方は、ぜひ動画レビューもあわせてご覧ください。

04. 打鍵音とスイッチ詳細

本機に搭載されているのは最新の「EverGlide Siren V2」です。磁気スイッチ特有のスカスカ感がなく、芯のある「コトコト感」が手元に伝わります。

打鍵音を聴く

磁気スイッチの中でも最高クラスの「コトコト系」サウンドです。

ハウジング材質
トップ PC / ボトム PA66
ステム材質
POM
押下圧
トップ 37g / ボトム 47g
スプリング長
20mm
底部磁束密度
640Gs
寿命
1億回以上

05. パフォーマンス分析

AE68 Pro 遅延実測結果
Swagkeys Neon Testerによる実測値(通信+基板遅延の合算)

実測値遅延において、AE68 Proはハイエンド機と全く遜色のない性能です。有名どころで言えば、HM Zシリーズの実測値遅延よりも明確に小さいことが確認できます。

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06. 分解に関する注意:難易度は「不可能」に近い

唯一、明確なデメリットを挙げるなら分解の難しさです。ネジ固定ではなくケース同士を爪で噛み合わせる構造なのですが、これが異常に硬いです。筆者もピックで30分格闘しましたが、傷がつくだけで分解できず諦めました。内部カスタムは基本できないと考えてください。

07. ソフトウェア (Webドライバー)

設定にはWebドライバ「xsyd.top」を使用します。インストール不要。使い始めたらまず一番最初にWebドライバを開き「キャリブレーション」を実行してください

STEP 1. パフォーマンス・ライティング設定

各ボタンを押すと画像と説明が切り替わります。

RT設定画面
キャリブレーション
デッドゾーン設定
スイッチ選択
ライティング設定

RT設定

AP/RTともに0.001mm〜3.793mmの間で設定可能です。自分に合った数値を見つけることが重要です。

キャリブレーション

性能を最大限引き出すための必須作業です。画面の指示に従い全てのキーを押し込んで認識させます。

デッドゾーン設定

0〜1mmの範囲で設定可能。意図しないわずかな動きによる誤入力を防ぎ、より精密なコントロールを実現します。

スイッチ選択

現在はデフォルト一択ですが、今後のアップデートで対応スイッチが増えていくことが予想されます。

ライティング

虹色、単色、消灯など自由に変更可能。半透明モデルならデスクの雰囲気が劇的に変わります。

STEP 2. 高度なキー機能説明

SOCDやマクロなど、より踏み込んだ設定を行います。

Fnリマップ
高度な設定
マクロ設定

Fnリマップ

Fnキーは固定ではありません。好きな場所に割り当てを変更でき、利便性を高めることができます。

高度な設定

SOCD、DKD、MTといった高度な設定を網羅。ゲームシーンにあれば便利な機能はすべて揃っています。

マクロ設定

一連の操作を1ボタンに記録可能。作業効率化やゲーム内の定型操作に役立ちます。

STEP 3. レイヤー保存と物理キー切替

用途別プロファイルの設定手順です。

レイヤー保存1
レイヤー保存2
切替キー設定

左画面の「毎設定」から別々の構成を保存しておきましょう。その後「カスタムキー」→「コントロール」から「配置1〜4」の切替をキーに割り当てます。例えば右上のキーに配置1を割り当てておけば、リマップしたキーを押すだけで即座にタイピング用からゲーム用へ切り替えられ、利便性が劇的に向上します。

08. 総評:最強の「入門」であり「終着点」

Final Verdict

EverGlide AE68 Proは単なる安物ではありません。分解不可という構造上の割り切りはありますが、9,800円でこの打鍵感とHM Zシリーズを超える低遅延が手に入るなら、それは些末な問題です。初心者はもちろん、玄人にこそこのバグのような満足度を体感してほしい一台です。

ここまで読んでくれたあなたに、ちょっとした内緒話を。実は今、メーカーと協力してRabbit0オリジナルの「JIS配列 75% 三分割スペース」モデルを水面下でガッツリ開発しています。国内ユーザーの理想を形にした、かなり面白い一品になる予定です。まだ詳細は秘密ですが、続報をお楽しみに。

予算を抑えて勝ちたい人

おすすめ度:★★★★★

1万円以下で実測0.5ms。ハイエンド機に性能負けしたくないなら、これ以外の選択肢は考えにくいです。

音に妥協したくない人

おすすめ度:★★★★★

Siren V2とガスケットマウントが織りなすコトコト音。安価で高性能な磁気キーボードの音の悪さに絶望してきた人に刺さります。

長所と短所

長所 (Pros)

  • ・9,800円という異常な安さとハイエンド級の低遅延性能。
  • ・Siren V2による磁気スイッチ最高峰の打鍵音。
  • ・実測0.5ms台の低遅延。HM Zシリーズを上回る。
  • ・2段階調整可能なチルトスタンドを搭載。
  • ・プロファイル切替の割り当てによる高い実用性。

短所 (Cons)

  • ・ケースの分解が地獄。内部カスタムはほぼ不可能。
  • ・完成度は高いが、わずかにチープさを感じる。
  • ・ソフトウェアの設定幅は上位機種に比べれば限定的。

09. よくある質問 (FAQ)

Q. ケースの分解方法を教えてください。

A. ネジ固定ではなく強固な爪で固定されています。ピック等での分解は可能ですが、非常に硬くケースに傷がつくるリスクが高いため、基本的にはおすすめしません。

Q. ホットスワップに対応していますか?

A. はい、磁気スイッチのホットスワップに対応しています。スイッチ交換後は必ずキャリブレーションを行ってください。

Q. アルミモデルとどっちを買うべきですか?

A. コスパと手軽さを重視するなら本機(9,800円)、剛性と高級感を最優先するなら二種類発売されるアルミモデル(19,800円)が良いでしょう。