当ブログでのキーボード反応速度(遅延)測定は、Swagkeys製の「Neon Tester」を使用しています。
メーカーが公表するスペック(公称値)だけでは分からない「本当の応答性能」を理解するために、まずは遅延の仕組みを3つの要素に分けて解説します。
注意:よく見る「遅延0.125ms」の真実
A: 物理遅延
ユーザーの指がキーを押し込み、スイッチ内部の接点が反応するまでにかかる物理的な時間です。
個人の反射神経やキースイッチの構造(APなど)によって大きく変動するため、ハードウェアの公平な性能比較には適しません。
そのため、このランキングの計測からは除外しています。
B: 内部処理遅延
スイッチの反応をキーボードの頭脳である基板(MCU)が検知し、PCへ送る信号を生成するまでの処理時間です。このBこそが、キーボード本体の電子的な処理性能の核となります。
メーカーが広告で謳う「応答速度0.08ms!」といった極端に短い数値は、多くの場合、このBの速さを指していると考えられます。
しかし、次に説明するCの一部が含まれている可能性も否定できず、メーカー公称値の曖昧さの主な原因となっています。
C: 通信遅延
キーボードが生成した信号を、PCに送信するまでの待機時間です。これはPCがキーボードに問い合わせを行う頻度(ポーリングレート)に依存します。 8000Hzのポーリングレートの場合、PCは0.125msごとに問い合わせを行います。
そのため、信号は最大でも0.125ms待てばPCに送信されます。この数値はあくまで理想環境下での理論値であり、このスペック単体ではキーボードの総合的な応答性能は分かりません。
さらに交渉値8000Hzであっても、実際は8000Hzではないキーボードも多数存在します。
このランキングの計測値について
計測値 = B (内部処理遅延) + C (通信遅延)
当ランキングの計測値は、キーボードの純粋な電子性能を示すBとCを合わせた合計遅延です。物理的な要素であるAを除外することで、異なる製品の応答性能を公平に、そして正確に比較することを可能にしています。
なぜメーカー公称値と実測値は違うのか?
メーカーが提示する公称値は、特定の条件下での「最も優れた部分」を切り取ってアピールしている場合がほとんどです。
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「応答速度0.08ms!」 → 内部処理遅延(B)の速さを強調している可能性が高いですが、どこまでの範囲を計測したのかが不明瞭です。
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「ポーリングレート8000Hz、0.125ms!」 → 通信遅延(C)の理論上の数値をアピールしていますが、これだけではキーボード全体の応答性能は判断できません。
このように、公称値は「どの部分の遅延なのか」が曖昧です。
1. リセット遅延
キーを押し込んだ状態から、少しでもキーを離す方向(上方向)に動かした瞬間に、ラピッドトリガー機能が作動して入力がリセット(オフ)されるまでの時間です。
2. アクチュエーション遅延
キー入力がリセットされた直後から、再びキーを押し込む方向(下方向)に動かした瞬間に、ラピッドトリガーが再入力を検知してアクチュエーション(オン)するまでの時間です。
ランキングをご覧いただく上での大切なポイント
- このブログでは、キーボードの反応速度(遅延)をミリ秒(ms)という非常に細かい単位で比較し、数値が小さい順に並べています。ここで重要なのは、1msは0.001秒(1000分の1秒)という、人間の感覚では捉えにくいほどごくわずかな時間であるという点です。
- そのため、例えばランキング上で数ミリ秒程度の差があったとしても、実際に使ってみてその違いを体感できることは稀である、と一般的に言われています。
- もちろん、競技レベルのゲーマーの方など、極限の環境ではわずかな差が影響することもあるかもしれませんが、多くの方にとっては、数値の小さな差よりも、打鍵感、キー配列、デザイン、機能性といった他の要素の方が、キーボード選びの満足度を大きく左右します。
- このランキングの数値は、あくまで客観的なデータの一つとして参考にしていただき、ぜひ総合的な視点から、あなたにとって最高のキーボードを見つけてください。
2. キーボード遅延ランキング
キーボード名をクリックすると、ページ下部の詳細情報へジャンプします。
キーボード名 | リセット遅延 (平均) |
アクチュエーション遅延 (平均) | 価格 |
---|---|---|---|
Rakka 60 Atlas(V2) | 0.282ms | 0.467ms | 21,800円~ |
MelGeek REAL67 | 0.379ms | 0.552ms | 16,800円 / 19,900円 |
MM Studio M6Lite+ BeastMode |
8.289ms | 0.521ms | 16,000円~ |
MM Studio M6Lite+ HawkeyeMode | 1.821ms | 0.651ms | 16,000円~ |
EverGlide SU64 | 0.462ms | 0.577ms | - |
MorkBlade MK60 | - | - | 33,000円 |
HMLab HM61Z | - | - | 16,800円~ |
RAKKA H64(V1) | 0.491ms | 0.741ms | 販売終了 |
IPI AURORA65 | 1.338ms | 0.861ms | 16,800円~ |
Weikav K-One80 | 0.733ms | 0.876ms | 18,800円 |
MCHOSE ACE60PRO | - | - | 9,800円~ |
HMLab HM66 | 1.843ms | 1.328ms | 36,000円 |
今後計測予定のキーボード
- EverGlide SU75Pro
- YODALL Nexus61S
- MMDAiny AR60
- HMLab HM61Z
- MorkBlade MK60
- MCHOSE ACE60PRO
- Irok MG75Pro
- Carotmas Mer68
- IYX MU68
3. 各キーボードの詳細情報
ここでは、各キーボードのより詳しい情報や関連データをご紹介します。

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- リセット遅延 (平均) : 0.282ms
- アクチュエーション遅延 (平均) : 0.467ms
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- リセット遅延 (平均) : 8.289ms
- アクチュエーション遅延 (平均) : 0.521ms
※現在BeastModeではバグが発生している可能性があります。
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- リセット遅延 (平均) : 0.462ms
- アクチュエーション遅延 (平均) : 0.577ms
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- リセット遅延 (平均) : 1.338ms
- アクチュエーション遅延 (平均) : 0.861ms
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- リセット遅延 (平均) : 0.733ms
- アクチュエーション遅延 (平均) : 0.876ms
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