このレビューでは、ラピッドトリガーキーボード、「MelGeek REAL67」の全貌を解き明かします。その特徴や機能が、日々のタイピングやゲーミングシーンをどのように変えるのか、詳しく見ていきましょう。
以下に、本製品の具体的な仕様、特筆すべき機能、そして利点と欠点について詳述します。
At a Glance
商品仕様
- レイアウト
- 英語配列 / 65%
- ポーリングレート
- 8KHz
- スキャンレート
- 16KHz
- キーキャップ
- PC / PBT (カラーによって異なる)
- アクチュエーションポイント (AP)
- 0.1mm - 3.5mmこの範囲で、キーが反応する深さを自由に設定できます。
- ラピッドトリガー (RT)
- 0.01mm - 3.5mmキーを少しでも押し戻せば入力がオフになる機能です。
- デッドゾーン
- 0
- マウント方式
- GASKET
- LED仕様
- 南向き RGB LED
- プレート材質
- アルミニウム
- ケース材質
- プラスチック
- 接続端子
- USB Type-C (基板左側)
- 寸法 (長さ x 幅 x 高さ)
- 約 330 × 115 × 40 mm
- 価格
- 16,800円 / 19,800円
2. デザインと構造
REAL67のケースはプラスチック製で、以前の「MADE」シリーズと比較すると、より控えめでありながらデザイン性が高い印象です。
まずデザイン面では、特徴的だった上部のライトボックスが廃止され、代わりに「ピクセルアート」というテーマが一貫して採用されています。ケーブル接続部周辺のハート型デザインや背面の金属銘板、USBポート周り、CAPSキーのインジケーターに至るまで、このテーマで統一されています。また、方向キー左側の発光するライトバーは、全体のレイアウトをすっきりと見せる良いアクセントになっています。
カスタマイズ要素として、サイドパネルは取り外し可能で、同社の「MADE68」との互換性があります。このパネルはモデルによって素材が異なり、Silicon Gray / Sodium Whiteではアルミニウム合金製、Calcium Transparent Gray / Potassium Transparent purpleでは半透明PC素材が使われています。ケース下のシリコンパッドの色も、モデルの配色に合わせて変更されている点もポイントです(例:Transparent系はグレー、Sodium Whiteはオレンジ)。
構造は、MADE68のトレイマウントとは異なるトップ/ボトムケースの分離構造です。内部には独自のガスケット構造が採用されており、これが打鍵感に貢献しています。特筆すべきは、プラスチック筐体でありながら約940gという重量と、強く押してもたわみを感じさせない高い剛性を確保している点です。
ただし、この独自構造のため、ユーザーによる分解や交換は難易度が高いという注意点もあります。
キーキャップ材質の比較
PBT樹脂 (ポリブチレンテレフタレート)
サラサラとしたマットな質感が特徴。耐摩耗性に優れ、長期間使用してもテカりにくいのが最大の魅力です。
ABS樹脂 (アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)
滑らかな手触りで、鮮やかな発色が可能。多くの安価なキーボードで採用されていますが、長期間の使用で表面が摩耗しテカりやすいという特徴も。
PC樹脂 (ポリカーボネート)
ガラスのような高い透明度が特徴の素材です。RGBライティングを最も美しく透過させるため、光るキーボードに最適です。打鍵音はABSとPBTの中間的で、クリアで深みのあるサウンドを生み出します。
3. 主要機能と搭載スイッチ
本製品の心臓部には、磁気スイッチが搭載されています。これにより、ラピッドトリガー(RT)やアクチュエーションポイント(AP)可変といった機能に対応し、RTは最短0.01mmからの設定が可能です。
この最短設定においても入力が途切れることはなく、動作は非常に安定しています。
さらに、キーの同時押し挙動(SOCD)の制御や、短押し・長押しで機能を変えるMODTAP、一つのキーに複数の動作を割り当てるDKSなど、キー入力をカスタマイズする設定も豊富に用意されています。
打鍵音を聴く
実際のタイピングサウンドを再生します。( REAL67 Gray )
搭載スイッチ性能
TTC Sacred Heart KOM Switch
[Calcium Transparent Gray/Potassium Transparent purple]
- 製品特徴
- クリアな透明感
- 初期押下圧
- ---
- 底部押下圧
- ---
- 総ストローク
- 3.4±0.2mm
- 作動ストローク
- カスタム
- 初期磁束量
- ---
- 底部磁束量
- 480±50gs (PCB1.6mm)
- スプリング長
- 21mm
- トップハウジング
- PC
- ステム
- POM
- ボトムハウジング
- pc
- 軸タイプ
- リニア
- 寿命
- 1億回
TTC Tai E Switch
[Silicon Gray/Sodium White]
- 製品特徴
- ---
- 初期押下圧
- ---
- 底部押下圧
- ---
- 総ストローク
- 3.4±0.2mm
- 作動ストローク
- カスタム
- 初期磁束量
- ---
- 底部磁束量
- 480±60gs (PCB1.6mm)
- スプリング長
- 21mm
- トップハウジング
- PC
- ステム
- POM
- ボトムハウジング
- POM
- 軸タイプ
- リニア
- 寿命
- 1億回
見てわかる!RT・APシミュレーター
キーの動きと入力の反応がリアルタイムグラフで丸わかり!
「W」キーで操作
メーカーごとの"個性"、覗いてみる?
あくまでご参考までに。主要メーカーのラピッドトリガーの遅延がどんなものなのか、その"クセ"のようなものを体験できる面白いツールがあります。息抜きにちょっと遊んでみませんか?【製作者BOSS】
ツールで遊んでみる4. パフォーマンス分析

- RT安定性
-
- 使用スイッチ
- TTC Sacred Heart KOM Switch
- テスト設定値
- 0.01mm ~ 0.02mm
- キャリブレーション
- 手動実施済み
- 観察された現象
- RT 0.01mm以上の設定で安定動作
- 遅延実測値
-
- 平均値
- 0.1076ms
- 四分位範囲
- 0.040ms
- 標準偏差
- 0.0288ms
- データ数
- 242回
5. ソフトウェア
ソフトウェアはMelGeek自社製となります。
UIデザインはシンプルであり、設定項目は直感的で分かりやすく、操作にストレスを感じることはほとんどありません。
そして本製品は、全ての詳細な設定(RT/APの数値、各キー機能、マクロ等)を、用途の異なる複数のプロファイルとして丸ごと保存できます。
例えば「ゲームに特化した超速設定」と「普段使いに適した安定設定」を一瞬で切り替えることができ、この一台であらゆるシーンに最適な環境を構築することが可能です。
※本製品は、必ず手動キャリブレーションを行なってから使用してください。
6. 総評とまとめ
MelGeek REAL67は、「真実のパラメータ、誇張なし」というブランド哲学を体現したキーボードです。極端なスペック競争とは一線を画し、実用上、極めて安定して動作する0.01mmのラピッドトリガー性能を追求しています。
性能、デザイン、ビルドクオリティ、そして独自ソフトウェア「HIVE」によるカスタマイズ性など、ブランドの哲学に基づいた堅実な仕上がりが魅力です。 絶対的なスペック値よりも、公表値通りの安定性やMelGeek独自の世界観に価値を見出すユーザーにとって、非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
長所と短所
長所 (Pros)
- ・公称値であるRT 0.01mm設定において、極めて安定した動作を実現。
- ・高品質なスイッチを採用し、安定したキー入力をサポート。
- ・透明感のあるキーキャップやライトバーなど、細部までこだわりを感じさせます。
- ・RT感度やキーマップの変更はもちろん、SOCDやDKSといった高度な機能も設定可能です。
- ・ プラスチック製でありながら、しっかりとしたビルドクオリティを確保しています。
短所 (Cons)
- ・0.01mm未満の超高速RTを求めるユーザーには、スペック的に物足りない可能性があります。
- ・ 同価格帯にはCNCアルミケース採用のモデルも多く、金属の重厚な質感を好む層には見劣りします。
- ・ 静音性や重厚な打鍵音を重視するユーザーには、好みが分かれる可能性があります。
- ・ ユーザー自身が内部に手を入れるような、深いカスタマイズには向きません。
- ・ 同価格帯に強力なライバルがひしめいているため、コストパフォーマンス面で比較検討が必要です。
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ストアで詳細を見る7. よくある質問 (FAQ)
Q. キーボードがPCに認識されません(接続できません)。
A. キーボードが正常に認識されない場合、以下の手順を上から順にお試しください。
-
基本的な接続環境の確認:
- USBケーブルを一度抜き、PCとキーボード本体に再度しっかりと差し込んでください。
- PCの別のUSBポートに接続してください。特に、PCケースの前面ではなく、マザーボード背面に直結しているUSB3.0以上のポートを強く推奨します。
- USBハブは電力不足や不安定性の原因となるため、必ず取り外してください。
- 可能であれば、8KHzポーリングレートに対応した別の高品質なケーブルで接続をお試しください。
-
デバイスマネージャーからのドライバー再インストール (Windows):
Windowsがデバイスを誤認識している場合に有効です。
- Windowsのスタートボタンを右クリックし、「デバイス マネージャー」を選択します。
- 「キーボード」または「ヒューマン インターフェイス デバイス」の項目を展開し、該当するデバイス名(不明なデバイス等も含む)の上で右クリックします。
- 「デバイスのアンインストール」を選択します。(「このデバイスのドライバー ソフトウェアを削除する」のチェックボックスが表示された場合は、チェックを入れてください)
- アンインストール完了後、キーボードのUSBケーブルを抜き、30秒ほど待ってから再度差し込むと、ドライバーが自動的に再インストールされます。
-
キーボードの初期化(工場出荷時リセット):
上記で解決しない場合、キーボード本体の設定を初期化することで改善する場合があります。初期化の方法は製品によって異なりますので、付属のマニュアルをご確認ください。
これらの手順でも解決しない場合は、製品の初期不良の可能性もございますので、サポートまでお問い合わせください。
Q. 特定のキーが反応しません/反応が鈍いです。
A. キー入力が正常に反映されない場合、電力不足やデータ転送の問題が考えられます。まず、以下の接続環境をご確認ください。
【重要】電源と接続環境の確認
- 8KHzポーリングレートに対応した、高品質なUSBケーブルをご使用ください。コイルケーブルや延長ケーブルは信号の減衰や電力不足の原因となります。
- USBハブ等は絶対に使用せず、PC本体のマザーボード背面に直結しているUSB3.0以上のポートに接続してください。
上記の接続環境に問題がない場合、以下の手順で問題の切り分けを行ってください。
- まず、キーボードテスターサイトなどで、特定のキーだけが反応しないことを物理的に確認します。
-
(ホットスワップ対応製品の場合)
- 反応しないキーのキースイッチを、付属の工具で慎重に引き抜きます。
- 正常に動作している別のキーのスイッチと入れ替えてみます。
- 入れ替えて反応するようになった場合 → 引き抜いたキースイッチ自体の初期不良の可能性があります。
- 入れ替えても反応しない場合 → 基板側のソケットに問題がある可能性がありますので、サポートにご連絡ください。
Q. 専用ソフトウェアはどこからダウンロード / 使用できますか?
Q. このキーボードはホットスワップに対応していますか?
A. はい、このキーボードはホットスワップに対応しており、はんだ付けなしでお好みの磁気スイッチに交換が可能です。
本製品の性能を最大限に引き出し、最高の打鍵感を得るために、スイッチを選ぶ際には以下の2点を重視することをお勧めします。
-
軸ブレが限りなく少ないスイッチ:
キーを押し込んだ際のぐらつきが少ないスイッチを選ぶことで、より安定した精密なキー操作が可能になります。 -
底面がふさがっている(ボックス構造の)スイッチ:
スイッチには底面が貫通しているタイプと、ふさがっているタイプの2種類があります。本製品では、底面がふさがっているタイプのスイッチをご使用ください。
これらの条件を満たす高品質な磁気スイッチをお選びいただくことで、より快適なタイピング・ゲーミング体験が可能となります。
Q. キーキャップは交換できますか?
A. はい、Cherry MX互換の十字軸を採用しているため、市販の多くのカスタムキーキャップと互換性があります。