このレビューでは、ラピッドトリガーキーボード、「IROK MG75 PRO」の全貌を解き明かします。その特徴や機能が、日々のタイピングやゲーミングシーンをどのように変えるのか、詳しく見ていきましょう。
以下に、本製品の具体的な仕様、特筆すべき機能、そして利点と欠点について詳述します。
At a Glance
商品仕様
- レイアウト
- 英語配列 / 75%
- ポーリングレート
- 8KHz
- 単キースキャンレート
- 256KHz
- フルキースキャンレート
- 32KHz
- キーキャップ
- PC / PBT (カラーによって異なる)
- アクチュエーションポイント (AP)
- 0.005mm - 3.5mmこの範囲で、キーが反応する深さを自由に設定できます。
- ラピッドトリガー (RT)
- 0.005mm - 3.5mmキーを少しでも押し戻せば入力がオフになる機能です。
- デッドゾーン
- 0
- マウント方式
- GASKET
- LED仕様
- 南向き RGB LED
- プレート材質
- アルミニウム
- ケース材質
- アルミニウム
- 接続端子
- USB Type-C (基板左側)
- 寸法 (長さ x 幅 x 高さ)
- ---
- 価格
- 14,980円 / 15,980円
2. デザインと構造
このキーボードの魅力は、まず75%という絶妙なサイズ感と、その絶妙なボディに詰め込まれた圧倒的なビルドクオリティ、コストパフォーマンスにあります。
デスクに置いた瞬間に感じる、ずっしりとした重み。それもそのはず、ケースはCNC加工で贅沢に削り出されたアルミ合金の塊です。
ひんやりと硬質な感触と、表面を覆うサラサラとした陽極酸化処理の質感が相まって、触れるたびに所有欲が満たされる、まさに「高級機」の風格を漂わせています。
また、このキーボードの驚きは、その構造にあります。特筆すべきは、ネジを一本も使わないクイックリリース機構です。5秒もかからずに一瞬で分解することが可能です。
「キーボードの改造は面倒で保証もなくなる」という常識を過去のものにする、革命的な体験と言えるでしょう。スイッチ交換やメンテナンスが、これほど気軽に楽しめるキーボードはIPI AURORA65やEverGlide SU64を除いて市場にほとんど存在しないのが現状です。
デザイン面では、底面に彫られた謎の紋章がアクセントになっています。
これは好みが分かれるかもしれませんが、普段は見えないところにまで徹底的にこだわる、メーカーの遊び心を感じさせる部分です。
キーキャップ材質の比較
PBT樹脂 (ポリブチレンテレフタレート)
サラサラとしたマットな質感が特徴。耐摩耗性に優れ、長期間使用してもテカりにくいのが最大の魅力です。
ABS樹脂 (アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)
滑らかな手触りで、鮮やかな発色が可能。多くの安価なキーボードで採用されていますが、長期間の使用で表面が摩耗しテカりやすいという特徴も。
PC樹脂 (ポリカーボネート)
ガラスのような高い透明度が特徴の素材です。RGBライティングを最も美しく透過させるため、光るキーボードに最適です。打鍵音はABSとPBTの中間的で、クリアで深みのあるサウンドを生み出します。
3. 主要機能と打鍵音
本製品の心臓部には、磁気スイッチが搭載されています。これにより、ラピッドトリガー(RT)やアクチュエーションポイント(AP)可変といった機能に対応し、RT・AP共に最短0.005mmからの設定が可能です。
この最短設定においても入力が途切れることはなく、動作は非常に安定しています。
さらに、キーの同時押し挙動(SOCD)の制御や、短押し・長押しで機能を変えるMODTAP、一つのキーに複数の動作を割り当てるDKSなど、キー入力をカスタマイズする設定も用意されています。
打鍵音を聴く
実際のタイピングサウンドを再生します。( Stock )
見てわかる!RT・APシミュレーター
キーの動きと入力の反応がリアルタイムグラフで丸わかり!
「W」キーで操作
メーカーごとの"個性"、覗いてみる?
あくまでご参考までに。主要メーカーのラピッドトリガーの遅延がどんなものなのか、その"クセ"のようなものを体験できる面白いツールがあります。息抜きにちょっと遊んでみませんか?【製作者BOSS】
ツールで遊んでみる4. パフォーマンス分析

- RT安定性
-
- 使用スイッチ
- 初期搭載スイッチ
- テスト設定値
- 0.005mm ~ 0.02mm
- キャリブレーション
- 手動実施済み
- 観察された現象
- RT 0.01mm以上の設定で安定動作
- 遅延実測値
-
- 平均値
- 0.1874ms
- 四分位範囲
- 0.15ms
- 標準偏差
- 0.0754ms
- データ数
- 909回
5. ソフトウェア
UIデザインはかなりシンプルであり、設定項目は直感的とはいかないものの分かりやすく、操作にストレスを感じることは、ほとんどありません。
そして本製品は、全ての詳細な設定(RT/APの数値、各キー機能、マクロ等)を、用途の異なる複数のプロファイルとして丸ごと保存できます。
例えば「ゲームに特化した超高速設定」と「普段使いに適した安定設定」を一瞬で切り替えることができ、この一台であらゆるシーンに最適な環境を構築することが可能です。
※本製品は、必ず手動キャリブレーションを行なってから使用してください。
6. 総評とまとめ
このキーボード「IROK MG75 PRO」は、ケースの質感、打鍵感、それに分解やカスタムのしやすさまで含めて、かなり高クオリティな一台です。
なかでも、コストパフォーマンスの面では本当に言うことがありません。フルアルミケースを採用してこれだけ質感もパフォーマンスも高いのに、価格は16,000円弱に抑えられているので。
確かに、ソフトウェアが直感的に使えるほど親切ではなかったり、キーキャップがPC素材なのでPBTと比べると汗で滑りやすかったり、といった細かな注意点はいくつかあります。
もちろん、探せばこれより安いキーボードはたくさん見つかります。
ただし、そういった製品の多くは、ケースがプラスチックでチープだったり、コスト削減のために内部のフォームが省かれていたりすることがあります。
その点、この製品は外観や打鍵感からそうした「安っぽさ」を全く感じさせません。
だからこそ、「安かろう悪かろう」は避けたい、でも本当にコストパフォーマンスが高いものが欲しい、と考えるユーザーにとって、これは最適解になりうる一台だと思います。
長所と短所
長所 (Pros)
- ・工具不要で分解できる「クリックリリース」機構の採用
- ・CNC加工アルミケースの重厚な質感と、快適な打鍵感を生む絶妙な設計。
- ・高品質なスイッチと独自の内部構造が生み出す、滑らかな打鍵音。
- ・圧倒的なコストパフォーマンス
短所 (Cons)
- ・PC素材のキーキャップ(PBT素材と比べ、皮脂が目立ちやすく滑りやすい)
- ・性能を最大限に活かすには8KHz対応ケーブルが必須(※ただし選択肢は増加傾向)
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ストアで詳細を見る7. よくある質問 (FAQ)
Q. キーボードがPCに認識されません(接続できません)。
A. キーボードが正常に認識されない場合、以下の手順を上から順にお試しください。
-
基本的な接続環境の確認:
- USBケーブルを一度抜き、PCとキーボード本体に再度しっかりと差し込んでください。
- PCの別のUSBポートに接続してください。特に、PCケースの前面ではなく、マザーボード背面に直結しているUSB3.0以上のポートを強く推奨します。
- USBハブは電力不足や不安定性の原因となるため、必ず取り外してください。
- 可能であれば、8KHzポーリングレートに対応した別の高品質なケーブルで接続をお試しください。
-
デバイスマネージャーからのドライバー再インストール (Windows):
Windowsがデバイスを誤認識している場合に有効です。
- Windowsのスタートボタンを右クリックし、「デバイス マネージャー」を選択します。
- 「キーボード」または「ヒューマン インターフェイス デバイス」の項目を展開し、該当するデバイス名(不明なデバイス等も含む)の上で右クリックします。
- 「デバイスのアンインストール」を選択します。(「このデバイスのドライバー ソフトウェアを削除する」のチェックボックスが表示された場合は、チェックを入れてください)
- アンインストール完了後、キーボードのUSBケーブルを抜き、30秒ほど待ってから再度差し込むと、ドライバーが自動的に再インストールされます。
-
キーボードの初期化(工場出荷時リセット):
上記で解決しない場合、キーボード本体の設定を初期化することで改善する場合があります。初期化の方法は製品によって異なりますので、付属のマニュアルをご確認ください。
これらの手順でも解決しない場合は、製品の初期不良の可能性もございますので、サポートまでお問い合わせください。
Q. 特定のキーが反応しません/反応が鈍いです。
A. キー入力が正常に反映されない場合、電力不足やデータ転送の問題が考えられます。まず、以下の接続環境をご確認ください。
【重要】電源と接続環境の確認
- 8KHzポーリングレートに対応した、高品質なUSBケーブルをご使用ください。コイルケーブルや延長ケーブルは信号の減衰や電力不足の原因となります。
- USBハブ等は絶対に使用せず、PC本体のマザーボード背面に直結しているUSB3.0以上のポートに接続してください。
上記の接続環境に問題がない場合、以下の手順で問題の切り分けを行ってください。
- まず、キーボードテスターサイトなどで、特定のキーだけが反応しないことを物理的に確認します。
-
(ホットスワップ対応製品の場合)
- 反応しないキーのキースイッチを、付属の工具で慎重に引き抜きます。
- 正常に動作している別のキーのスイッチと入れ替えてみます。
- 入れ替えて反応するようになった場合 → 引き抜いたキースイッチ自体の初期不良の可能性があります。
- 入れ替えても反応しない場合 → 基板側のソケットに問題がある可能性がありますので、サポートにご連絡ください。
Q. 専用ソフトウェアはどこからダウンロード / 使用できますか?
Q. このキーボードはホットスワップに対応していますか?
A. はい、このキーボードはホットスワップに対応しており、はんだ付けなしでお好みの磁気スイッチに交換が可能です。
本製品の性能を最大限に引き出し、最高の打鍵感を得るために、スイッチを選ぶ際には以下の2点を重視することをお勧めします。
-
軸ブレが限りなく少ないスイッチ:
キーを押し込んだ際のぐらつきが少ないスイッチを選ぶことで、より安定した精密なキー操作が可能になります。 -
底面がふさがっている(ボックス構造の)スイッチ:
スイッチには底面が貫通しているタイプと、ふさがっているタイプの2種類があります。本製品では、底面がふさがっているタイプのスイッチをご使用ください。
これらの条件を満たす高品質な磁気スイッチをお選びいただくことで、より快適なタイピング・ゲーミング体験が可能となります。
Q. キーキャップは交換できますか?
A. はい、Cherry MX互換の十字軸を採用しているため、市販の多くのカスタムキーキャップと互換性があります。