MorkBlade MK60

1. はじめに

このレビューでは、ラピッドトリガーキーボード、「MorkBlade MK60」の全貌を解き明かします。その特徴や機能が、日々のタイピングやゲーミングシーンをどのように変えるのか、詳しく見ていきましょう。

以下に、本製品の具体的な仕様、特筆すべき機能、そして利点と欠点について詳述します。

At a Glance

--
Total Score

商品仕様

レイアウト
英語配列 / 60%
ポーリングレート
8KHz
単キースキャンレート
2304KHz
フルキースキャンレート
256KHz
キーキャップ
PC / PBT (カラーによって異なる)
アクチュエーションポイント (AP)
0.001mm - 3.5mmこの範囲で、キーが反応する深さを自由に設定できます。
ラピッドトリガー (RT)
0.001mm - 3.5mmキーを少しでも押し戻せば入力がオフになる機能です。
デッドゾーン
0
マウント方式
TOP / TRAY / GASKET
LED仕様
Dual RGB LED
プレート材質
カーボンファイバー
ケース材質
アルミニウム
接続端子
USB Type-C (基板左側)
寸法 (長さ x 幅 x 高さ)
約 303 × 125 × 37 mm
価格
33,000円

2. デザインと構造

このキーボードは、ミニマルな60%サイズに、機能美と所有欲を満たす重厚な構造を見事に両立させています。

CNC加工で削り出されたアルミニウムケースは、小さいながらもデスク上で圧倒的な存在感を放ち、ずっしりとした高級感があります。表面はマット感が強く、少しざらつきのあるスプレー塗装で仕上げられており、均一で心地よい触感です。

美しい背面模様に加え、左右のくびれ部分ではベースのアルミ地金がのぞき、デザインのアクセントと持ちやすさを両立。

また、前面の大きな傾斜は、ある程度リストレストの役割も果たします。この考え抜かれたフロント高と傾斜角の設計も、本当に素晴らしいものがあります。

次にキーキャップは、半透明のPC素材にUVプリントを施し、「ソフトフィール塗装」で仕上げられています。このソフトな触り心地はまさに最高ですが、一方で指紋が付きやすい点や、耐摩耗性はあまり高くないため、ヘビーに使い込むと質感が変化しやすい点には注意が必要です。

また、この半透明キーキャップは、本製品が誇るライティングの美しさを最大限に引き出します。その秘密が、各キーにLEDを2つ搭載した『Dual RGB LED』仕様です。

キーの上下にLEDが配置されているため、電源を入れた時の美しさは格別で、キー全体がムラなく完璧に発光します。特に10個ものLEDを搭載したスペースキーの均一性は見事の一言。この圧倒的なライティングは、初めて見る人を感動させるほどの完成度です。

※光を透過するPCキーキャップが搭載されているのは、Orange / Black のみとなります。

キーキャップ材質の比較

PBT樹脂 (ポリブチレンテレフタレート)

サラサラとしたマットな質感が特徴。耐摩耗性に優れ、長期間使用してもテカりにくいのが最大の魅力です。

ABS樹脂 (アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)

滑らかな手触りで、鮮やかな発色が可能。多くの安価なキーボードで採用されていますが、長期間の使用で表面が摩耗しテカりやすいという特徴も。

PC樹脂 (ポリカーボネート)

ガラスのような高い透明度が特徴の素材です。RGBライティングを最も美しく透過させるため、光るキーボードに最適です。打鍵音はABSとPBTの中間的で、クリアで深みのあるサウンドを生み出します。

 

黒
橙
銀
白
背面
背面2
上面



3. 主要機能と搭載スイッチ

本製品の心臓部には、磁気スイッチが搭載されています。これにより、ラピッドトリガー(RT)やアクチュエーションポイント(AP)可変といった機能に対応し、RT・AP共に最短0.001mmからの設定が可能です。

この最短設定においても入力が途切れることはなく、動作は非常に安定しています。

さらに、キーの同時押し挙動(SOCD)の制御や、短押し・長押しで機能を変えるMODTAP、一つのキーに複数の動作を割り当てるDKS、複雑な手順を記録するマクロ機能など、キー入力を根本からカスタマイズする高度な設定も豊富に用意されています。

 

打鍵音を聴く

実際のタイピングサウンドを再生します。( MK60 Orange )

搭載スイッチ性能


Gateron Jade Air Switch

[Black / Orange ]

製品特徴
クリアな透明感
初期押下圧
36±5gf
底部押下圧
50±10gf
総ストローク
3.5±0.1mm
作動ストローク
カスタム
初期磁束量
120±8gs (PCB1.2mm)
底部磁束量
700±30gs (PCB1.2mm)
スプリング長
20mm
トップハウジング
PC
ステム
POM
ボトムハウジング
---
軸タイプ
リニア
寿命
1.5億回

Gateron Snow Blade Switch

[Silver / White]

製品特徴
Full POM
初期押下圧
30±5gf
底部押下圧
---
総ストローク
3.5±0.1mm
作動ストローク
カスタム
初期磁束量
120±8gs (PCB1.2mm)
底部磁束量
700±30gs (PCB1.2mm)
スプリング長
---
トップハウジング
POM
ステム
POM
ボトムハウジング
POM
軸タイプ
リニア
寿命
1.5億回

見てわかる!RT・APシミュレーター

キーの動きと入力の反応がリアルタイムグラフで丸わかり!

「W」キーで操作


W

メーカーごとの"個性"、覗いてみる?

あくまでご参考までに。主要メーカーのラピッドトリガーの遅延がどんなものなのか、その"クセ"のようなものを体験できる面白いツールがあります。息抜きにちょっと遊んでみませんか?【製作者BOSS

ツールで遊んでみる

4. パフォーマンス分析

Wキーでの遅延測定結果
Wキーでの遅延測定結果
RT安定性
使用スイッチ
Gateron Jade Air Switch
テスト設定値
0.001mm ~ 0.02mm
キャリブレーション
手動実施済み
観察された現象
RT 0.001mm以上の設定で安定動作
遅延実測値
平均値
0.1226ms
四分位範囲
0.006ms
標準偏差
0.0319ms
データ数
759回

5. ソフトウェア

ソフトウェアはMorkBlade自社製となります。

UIデザインは少し派手な印象を受けるものの、設定項目は直感的で分かりやすく、操作にストレスを感じることは一切ありません。

そして本製品は、全ての詳細な設定(RT/APの数値、各キー機能、マクロ等)を、用途の異なる複数のプロファイルとして丸ごと保存できます。

例えば「ゲームに特化した超速設定」と「普段使いに適した安定設定」を一瞬で切り替えることができ、この一台であらゆるシーンに最適な環境を構築する、まさに万能機と呼べる仕上がりです。

※本製品は、必ず手動キャリブレーションを行なってから使用してください。

黒
橙
銀
白




6. 総評とまとめ 

このキーボード、MorkBlade MK60は、あらゆる面で圧倒的な完成度を誇るキーボードです。

性能、打鍵感、デザイン、ビルドクオリティ、ソフトウェア、付属品、すべてが最高レベルにまとまっています。

細かな注意点はいくつか存在するものの、現状、ゲーミングキーボードの最高峰を求めるユーザーにとって、これ以上ない選択肢の一つであることは間違いありません。

長所と短所

長所 (Pros)

  • RT/APは、極限設定でも非常に安定した動作を誇る。
  • CNC加工アルミケースの重厚な質感と、快適な打鍵感を生む絶妙な設計。
  • 上下のDual LEDが、ムラのない完璧で美しいライティングを実現する。
  • ・高品質なスイッチと独自の内部構造が生み出す、雑味のないクリアな打鍵音。
  • 所有欲を満たす豪華なパッケージ。高品質なキープラーも標準で付属する。

短所 (Cons)

  • ソフトフィール塗装のキーキャップは、指紋が付きやすいうえに、耐摩耗性が低くすぐに質感が変わってしまう。
  • 安定動作には付属ケーブルの使用が推奨されるため、ケーブルの選択肢が少ない。

この記事で確信を持てた方は、ぜひ以下のリンクから詳細をご確認ください!

ストアで詳細を見る

7. よくある質問 (FAQ) 

Q. キーボードがPCに認識されません(接続できません)。

A. キーボードが正常に認識されない場合、以下の手順を上から順にお試しください。

  1. 基本的な接続環境の確認:
    • USBケーブルを一度抜き、PCとキーボード本体に再度しっかりと差し込んでください。
    • PCの別のUSBポートに接続してください。特に、PCケースの前面ではなく、マザーボード背面に直結しているUSB3.0以上のポートを強く推奨します。
    • USBハブは電力不足や不安定性の原因となるため、必ず取り外してください。
    • 可能であれば、8KHzポーリングレートに対応した別の高品質なケーブルで接続をお試しください。
  2. デバイスマネージャーからのドライバー再インストール (Windows):

    Windowsがデバイスを誤認識している場合に有効です。

    1. Windowsのスタートボタンを右クリックし、「デバイス マネージャー」を選択します。
    2. 「キーボード」または「ヒューマン インターフェイス デバイス」の項目を展開し、該当するデバイス名(不明なデバイス等も含む)の上で右クリックします。
    3. 「デバイスのアンインストール」を選択します。(「このデバイスのドライバー ソフトウェアを削除する」のチェックボックスが表示された場合は、チェックを入れてください)
    4. アンインストール完了後、キーボードのUSBケーブルを抜き、30秒ほど待ってから再度差し込むと、ドライバーが自動的に再インストールされます。
  3. キーボードの初期化(工場出荷時リセット):

    上記で解決しない場合、キーボード本体の設定を初期化することで改善する場合があります。初期化の方法は製品によって異なりますので、付属のマニュアルをご確認ください。

これらの手順でも解決しない場合は、製品の初期不良の可能性もございますので、サポートまでお問い合わせください。

Q. 特定のキーが反応しません/反応が鈍いです。

A. キー入力が正常に反映されない場合、電力不足やデータ転送の問題が考えられます。まず、以下の接続環境をご確認ください。

【重要】電源と接続環境の確認

  • 8KHzポーリングレートに対応した、高品質なUSBケーブルをご使用ください。コイルケーブルや延長ケーブルは信号の減衰や電力不足の原因となります。
  • USBハブ等は絶対に使用せず、PC本体のマザーボード背面に直結しているUSB3.0以上のポートに接続してください。

上記の接続環境に問題がない場合、以下の手順で問題の切り分けを行ってください。

  1. まず、キーボードテスターサイトなどで、特定のキーだけが反応しないことを物理的に確認します。
  2. (ホットスワップ対応製品の場合)
    1. 反応しないキーのキースイッチを、付属の工具で慎重に引き抜きます。
    2. 正常に動作している別のキーのスイッチと入れ替えてみます。
    3. 入れ替えて反応するようになった場合 → 引き抜いたキースイッチ自体の初期不良の可能性があります。
    4. 入れ替えても反応しない場合 → 基板側のソケットに問題がある可能性がありますので、サポートにご連絡ください。

       

Q. 専用ソフトウェアはどこからダウンロード / 使用できますか?
Q. このキーボードはホットスワップに対応していますか?

A. はい、このキーボードはホットスワップに対応しており、はんだ付けなしでお好みの磁気スイッチに交換が可能です。

本製品の性能を最大限に引き出し、最高の打鍵感を得るために、スイッチを選ぶ際には以下の2点を重視することをお勧めします。

  • 軸ブレが限りなく少ないスイッチ:
    キーを押し込んだ際のぐらつきが少ないスイッチを選ぶことで、より安定した精密なキー操作が可能になります。
  • 底面がふさがっている(ボックス構造の)スイッチ:
    スイッチには底面が貫通しているタイプと、ふさがっているタイプの2種類があります。本製品では、底面がふさがっているタイプのスイッチをご使用ください。

これらの条件を満たす高品質な磁気スイッチをお選びいただくことで、より快適なタイピング・ゲーミング体験が可能となります。

Q. キーキャップは交換できますか?

A. はい、Cherry MX互換の十字軸を採用しているため、市販の多くのカスタムキーキャップと互換性があります。