このレビューでは、ラピッドトリガーキーボード(PCB)、「HM Z Platform HE PCB KIT」の全貌を解き明かします。その特徴や機能が、日々のタイピングやゲーミングシーンをどのように変えるのか、詳しく見ていきましょう。
以下に、本製品の具体的な仕様、特筆すべき機能、そして利点と欠点について詳述します。
商品仕様
- レイアウト
- 英語配列 / 60%
- ポーリングレート
- 8KHz
- 単キースキャンレート
- 300KHz
- フルキースキャンレート
- 36KHz
- キーキャップ
- PC / PBT (カラーによって異なる)
- アクチュエーションポイント (AP)
- 0.005mm - 3.5mmこの範囲で、キーが反応する深さを自由に設定できます。
- ラピッドトリガー (RT)
- 0.001mm - 3.5mmキーを少しでも押し戻せば入力がオフになる機能です。
- デッドゾーン
- 0
- マウント方式
- (※)
- LED仕様
- 南向き RGB LED
- プレート材質
- FR4
- ケース材質
- ---
- 接続端子
- USB Type-C (基板左側)
- 価格
- 16,800円
※トレイマウント以外のケースを使用する際は、対応するプレートを別途用意する必要がある。
パッケージ内容
キットに含まれるものと、別途準備が必要なものは以下の通りです。
含まれるもの
- HM Z Platform HE PCB 本体
- FR4プレート ×1
- Poron プレートフォーム ×1
- ネジ ×1セット
- プレートマウントスタビライザーセット ×1
別途必要なもの
- キーボードケース (GH60互換)
- 磁気スイッチ (※1)
- キーキャップ (MX互換) (※2)
- USB Type-C ケーブル (※3)
※1: 軸ブレが少なく底部が塞がれているものを推奨。
※2: 64キーモデルの場合、2Uシフトキーを含むセットが必要。
※3: 8K対応ケーブルを推奨。コイルケーブルは非推奨。
2. デザインと構造
HM Labによるこの最新ゲーミングキーボード基板は、特にラピッドトリガー(RT)機能の0.001mm単位での調整や、アクチュエーションポイント(AP)の広範な設定範囲など、カタログスペックにおいて現行市場でも最高クラスの性能を誇っている点が特徴です。
HM Z Platform HE PCBキットは、コンパクトな60%フォームファクタのユニバーサルPCBデザインを採用しており、ユーザーの好みに合わせてHM61Z(61キー ANSI配列)とHM64Z(64キー ANSI配列、矢印キー付き)の2つのレイアウトオプションから選択可能です。
これにより、省スペース性を重視するユーザーから、矢印キーの利便性を求めるユーザーまで、幅広いニーズに対応します。
キーキャップ材質の比較
PBT樹脂 (ポリブチレンテレフタレート)
サラサラとしたマットな質感が特徴。耐摩耗性に優れ、長期間使用してもテカりにくいのが最大の魅力です。
ABS樹脂 (アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)
滑らかな手触りで、鮮やかな発色が可能。多くの安価なキーボードで採用されていますが、長期間の使用で表面が摩耗しテカりやすいという特徴も。
PC樹脂 (ポリカーボネート)
ガラスのような高い透明度が特徴の素材です。RGBライティングを最も美しく透過させるため、光るキーボードに最適です。打鍵音はABSとPBTの中間的で、クリアで深みのあるサウンドを生み出します。
3. 組み立てと互換性
組み立て時の注意点とヒント
本キットは完成品ではなく、自身で組み立てる必要があります。基本的な工具(精密ドライバー、プラー等)を用意し、以下の手順で進めることを推奨します。
- スタビライザーの準備
- プレートにスタビライザーを取り付けます。この段階で潤滑も済ませます。
- スイッチの装着
- スイッチをプレートにしっかりと装着します。
- ケースへの固定
- スイッチ装着済みのプレートとPCBをケースにネジで固定します。均等に締め付けるのがポイントです。
- キーキャップの装着
- 全てのスイッチにキーキャップを取り付けます。
- 接続とテスト
- PCに接続し、キー入力やLEDが正常に動作するか確認します。
推奨磁気スイッチ
- TTC KOM RGB
- UGaming Mount Tai
- UGaming Mount Tai GT
- Phylina Lightning
- Phylina Pink Lightning Pro
見てわかる!RT・APシミュレーター
キーの動きと入力の反応がリアルタイムグラフで丸わかり!
「W」キーで操作
メーカーごとの"個性"、覗いてみる?
あくまでご参考までに。主要メーカーのラピッドトリガーの遅延がどんなものなのか、その"クセ"のようなものを体験できる面白いツールがあります。息抜きにちょっと遊んでみませんか?【製作者BOSS】
ツールで遊んでみる4. パフォーマンス分析

- RT安定性
-
- 使用スイッチ
- Phylina Lightning Switch
- テスト設定値
- 0.001mm ~ 0.02mm
- キャリブレーション
- 手動実施済み
- 観察された現象
- RT 0.009mm以上の設定で安定動作
- 遅延実測値
-
- 平均値
- 0.1268ms
- 四分位範囲
- 0.013ms
- 標準偏差
- 0.009ms
- データ数
- 178回
5. ソフトウェア
ソフトウェアはHM Lab自社製となります。
設定項目は直感的で分かりやすく、操作にストレスを感じることはありません。
そして本製品は、全ての詳細な設定(RT/APの数値、各キー機能、マクロ等)を、用途の異なる複数のプロファイルとして丸ごと保存できます。
例えば「ゲームに特化した超速設定」と「普段使いに適した安定設定」を一瞬で切り替えることができ、この一台であらゆるシーンに最適な環境を構築する、まさに万能機と呼べる仕上がりです。
※本製品は、必ず手動キャリブレーションを行なってから使用してください。
6. 総評とまとめ
HM Z Platform HE PCBキットは、現行市場で上位クラスの応答性能と深いカスタマイズ性を持つ、自作キーボード好きや本気のゲーマー向けの注目のDIYパーツです。特に0.001mm単位で調整できるラピッドトリガー機能などは、これまでのキーボードの常識を超えるほどの可能性を秘めています。
しかし、この優れた性能を最大限に引き出すには、ユーザー自身にある程度の知識が求められ、適切なパーツ選びから丁寧な設定までが不可欠です。また、Webドライバーや極端に低い設定での安定性は、環境によって左右される点にも注意が必要です。
過去の製品にあった「分割スペースバー」のような個性的な機能がないため、長年のファンには少し物足りなく感じるかもしれません。
それでも、純粋なパフォーマンスと新しい技術の可能性に強く惹かれるなら、手間やコストをかけてでも挑戦する価値のある、非常に満足度の高いパーツと言えるでしょう。
誰にでもおすすめできる製品ではありませんが、その価値を理解し性能を引き出せる方にとっては、まさに「次世代のゲーミング体験」を味わえる核心的なパーツです。
長所と短所
長所 (Pros)
- ・業界高水準のパフォーマンススペック。
- ・豊富なカスタマイズ機能(DKS, MT, SOCD等)
- ・様々な磁気スイッチとの互換性
- ・鮮やかで自由度の高い南向きRGB LED
- ・ GH60互換による豊富なケース選択肢
短所 (Cons)
- ・性能を引き出すには知識と設定が必要。
- ・ コストパフォーマンスが悪い。
- ・ 分割スペースバーオプションがない。
- ・ Webドライバーが不安定になることがある。
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ストアで詳細を見る7. よくある質問 (FAQ)
Q. キーボードがPCに認識されません(接続できません)。
A. キーボードが正常に認識されない場合、以下の手順を上から順にお試しください。
-
基本的な接続環境の確認:
- USBケーブルを一度抜き、PCとキーボード本体に再度しっかりと差し込んでください。
- PCの別のUSBポートに接続してください。特に、PCケースの前面ではなく、マザーボード背面に直結しているUSB3.0以上のポートを強く推奨します。
- USBハブは電力不足や不安定性の原因となるため、必ず取り外してください。
- 可能であれば、8KHzポーリングレートに対応した別の高品質なケーブルで接続をお試しください。
-
デバイスマネージャーからのドライバー再インストール (Windows):
Windowsがデバイスを誤認識している場合に有効です。
- Windowsのスタートボタンを右クリックし、「デバイス マネージャー」を選択します。
- 「キーボード」または「ヒューマン インターフェイス デバイス」の項目を展開し、該当するデバイス名(不明なデバイス等も含む)の上で右クリックします。
- 「デバイスのアンインストール」を選択します。(「このデバイスのドライバー ソフトウェアを削除する」のチェックボックスが表示された場合は、チェックを入れてください)
- アンインストール完了後、キーボードのUSBケーブルを抜き、30秒ほど待ってから再度差し込むと、ドライバーが自動的に再インストールされます。
-
キーボードの初期化(工場出荷時リセット):
上記で解決しない場合、キーボード本体の設定を初期化することで改善する場合があります。初期化の方法は製品によって異なりますので、付属のマニュアルをご確認ください。
これらの手順でも解決しない場合は、製品の初期不良の可能性もございますので、サポートまでお問い合わせください。
Q. 特定のキーが反応しません/反応が鈍いです。
A. キー入力が正常に反映されない場合、電力不足やデータ転送の問題が考えられます。まず、以下の接続環境をご確認ください。
【重要】電源と接続環境の確認
- 8KHzポーリングレートに対応した、高品質なUSBケーブルをご使用ください。コイルケーブルや延長ケーブルは信号の減衰や電力不足の原因となります。
- USBハブ等は絶対に使用せず、PC本体のマザーボード背面に直結しているUSB3.0以上のポートに接続してください。
上記の接続環境に問題がない場合、以下の手順で問題の切り分けを行ってください。
- まず、キーボードテスターサイトなどで、特定のキーだけが反応しないことを物理的に確認します。
-
(ホットスワップ対応製品の場合)
- 反応しないキーのキースイッチを、付属の工具で慎重に引き抜きます。
- 正常に動作している別のキーのスイッチと入れ替えてみます。
- 入れ替えて反応するようになった場合 → 引き抜いたキースイッチ自体の初期不良の可能性があります。
- 入れ替えても反応しない場合 → 基板側のソケットに問題がある可能性がありますので、サポートにご連絡ください。
Q. 専用ソフトウェアはどこからダウンロード / 使用できますか?
Q. このキーボードはホットスワップに対応していますか?
A. はい、このキーボードはホットスワップに対応しており、はんだ付けなしでお好みの磁気スイッチに交換が可能です。
本製品の性能を最大限に引き出し、最高の打鍵感を得るために、スイッチを選ぶ際には以下の2点を重視することをお勧めします。
-
軸ブレが限りなく少ないスイッチ:
キーを押し込んだ際のぐらつきが少ないスイッチを選ぶことで、より安定した精密なキー操作が可能になります。 -
底面がふさがっている(ボックス構造の)スイッチ:
スイッチには底面が貫通しているタイプと、ふさがっているタイプの2種類があります。本製品では、底面がふさがっているタイプのスイッチをご使用ください。
これらの条件を満たす高品質な磁気スイッチをお選びいただくことで、より快適なタイピング・ゲーミング体験が可能となります。
Q. キーキャップは交換できますか?
A. はい、Cherry MX互換の十字軸を採用しているため、市販の多くのカスタムキーキャップと互換性があります。